ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ 【完】



いつしか病院に着き、あわただしく手術室へ消えていく。

が、15分もしないうちに”手術中”のランプは消えた。

椅子で頭をかかえる俺に、

「最善を尽くしたのですが……」

と、悲痛な医師のひと言。

「……ッ」

せめて、アイツの両親が到着するまでは生きていてほしかった。

最期に、なにかひとつぐらい、声を掛ける時間があっても……。

「これから四肢の傷口を縫う処置を施します」

と言い残し、医師はすぐに去っていく。

どれくらい経った頃だったか。

「あの子は! 息子はどこ!?」

あわてふためいて、小泉の両親がやってきた。

シャツに血のついた俺を見るなり、

「ねぇ!? なにがあったの!?」

と母親が食い殺すかのような眼差しを向けてくる。

「ぁ……その……」

言いよどむ俺。

――プシュウ―。

そのとき、再び手術室の扉が開いた。

関心はすぐに担当の医師へ。

「せ、先生! あの子は!?」

「私がご説明します」

……助かった。

こういうことは慣れている人に任せる方がいい。

「残念ですが、息子さんは助かりませんでした」

たったひと言で気を失ってしまった母親。

一瞬の間に、どれだけの思いや思い出がよぎっただろう。

それから、俺はひとり地下にある霊安室へと向かう。

シーツの膨らみはとても小さく、それをめくる勇気はない。

目覚めた母親は、あまりに無惨な姿に発狂したように叫びをあげた。

その嗚咽は、冷たい壁と薄暗く静かな廊下に響き渡る。




こうして、ふたり目の友が俺の前から笑顔を消した。



 
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