ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ 【完】



家に帰り着くと、自然に身体はベッドへと引き寄せられる。

思い返せば丸2日、まともに眠っていない。

しかし、目を閉じると、ふたりの最期の光景が映しだされる。

血痕が付着したレール、道路に転がる腕……。

悲痛な唸(うな)り声も耳にこびりついて離れない。

とめどなく涙が溢れる。

だが、あまりにもリアルすぎて、増殖するのは悲しみよりも恐怖だった。

そんなとき。

――トンッ、トンッ。

「大橋くーん、お母さんに入れてもらったんだ。帰ってきたんだよね?」

部屋の扉の向こうから、優しい問い掛けが聞こえた。

ドアを開けると、相変わらず笑顔が下手なふたり。浦野刑事と今川刑事だった。

「……刑事さん」

「おぉ、突然ごめんな」

「…………」

言葉だけで悪びれる様子もない浦野に、俺は一瞬苛立ちを覚える。

「ふた晩続きで友達が悲惨な目に遭って、キミが少し心配になってね」

「はぁ……」

俺はため息にも似た返事をする。

「少し話をしないか?」

そう言うと、部屋の中に入ってきた。

「……わかりました」

俺も下手な抵抗はしない。

日常から一転、非日常の二夜。

が、もともとその世界にいる彼らなら、なにか答えを導きだしてくれるような気がしたから。

だが、切実に真実を話しても、きっと笑い飛ばされるだろう。

2日前の俺たちがそうしたみたいに。

それでも、話すしかない。ワラにもすがる思いだった。



 
< 58 / 161 >

この作品をシェア

pagetop