ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ 【完】
家に帰り着くと、自然に身体はベッドへと引き寄せられる。
思い返せば丸2日、まともに眠っていない。
しかし、目を閉じると、ふたりの最期の光景が映しだされる。
血痕が付着したレール、道路に転がる腕……。
悲痛な唸(うな)り声も耳にこびりついて離れない。
とめどなく涙が溢れる。
だが、あまりにもリアルすぎて、増殖するのは悲しみよりも恐怖だった。
そんなとき。
――トンッ、トンッ。
「大橋くーん、お母さんに入れてもらったんだ。帰ってきたんだよね?」
部屋の扉の向こうから、優しい問い掛けが聞こえた。
ドアを開けると、相変わらず笑顔が下手なふたり。浦野刑事と今川刑事だった。
「……刑事さん」
「おぉ、突然ごめんな」
「…………」
言葉だけで悪びれる様子もない浦野に、俺は一瞬苛立ちを覚える。
「ふた晩続きで友達が悲惨な目に遭って、キミが少し心配になってね」
「はぁ……」
俺はため息にも似た返事をする。
「少し話をしないか?」
そう言うと、部屋の中に入ってきた。
「……わかりました」
俺も下手な抵抗はしない。
日常から一転、非日常の二夜。
が、もともとその世界にいる彼らなら、なにか答えを導きだしてくれるような気がしたから。
だが、切実に真実を話しても、きっと笑い飛ばされるだろう。
2日前の俺たちがそうしたみたいに。
それでも、話すしかない。ワラにもすがる思いだった。