ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ 【完】
散らかったままのテーブルを挟んだ向こうに浦野が、今川は俺の左斜め前に座った。
座った途端、ふたりの雰囲気が急に威圧的なものに変わる。
「とりあえず、腕」
「へっ!?」
俺にはその意図がまったくわからない。
「腕、見せて」
言われたとおり差しだすと、強引に袖をめくられる。
「あー」
そして、今川が口を開けて見せた。
「彼のように口を開けて」
言われるがままに大口を開ける。
浦野が突然こちらに身を乗りだし、細部まで中をまじまじと見られた。
「ぅ~……ん……」
「…………」
「なんすか!?」
「シャブはやってないみたいだね。よかった」
「は?」
ドラマで聞いた”クスリ”の専門用語が、まさか自分に向けられるとは……。
「キミの友達、ふたりとも事故当時はハイな状態だったのかなって」
「んなわけ……」
おかどちがいな推測に、大声が出る。
「ないよね~。今のところ、遺体からも薬物反応は出てないし」
が、浦野はへらっと笑っただけ。
「俺らは、そんなモンに手ぇ出してません!」
――ドンッ!
激しい怒りで机に拳を叩きつけた。
「ん~……でも、どうしてかなぁ? 奇行としか言いようがないよね、自ら道路のまん中に寝転ぶなんて」
一切動じず、浦野はなおも焚きつけるかのような言い回し。
「それは……」
「それは?」
今度は一転して、眼光が真剣みを帯びた。ボロが出そうなその瞬間を見過ごさんと言わんばかりに。
「…………」
言うべきか、あの呪いのゲームのことを。
無言になった俺を、ふたりの刑事が見つめる。
「ん? なにか言いたそうな顔してない?」
……今しかない。
俺はポケットから携帯を取り出し、あの画面メモを開いて見せた。