ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ 【完】
「ぁ、ぇ、ウソ! え!? まさか……沙奈の好きな人って……オレ?」
勢いで口走った言葉に、彼女はうなずく。
「沙奈……」
衝動的に、抱きしめたいと、そう思った。
だが、俺は高揚しきった心を一度落ち着かせて、スッと小指を差しだす。
「……約束する」
「ぇ? なにを?」
「俺、沙奈のこと絶対に守るから!」
「……うん。信じてる」
固く交わされる小指。
俺たちは同じ気持ちを抱いたまま遠回りをしていた。
「「……フッ」」
そういう失敗だけは、笑ってすませばいい。
だが……幸せな時間はそう長く続かないもの。
「み、見てる……」
沙奈は怯えながら扉の上を凝視していた。
時刻はまだ0時前。
あの時間まで、ほど遠い。
……まさか!? そんなはずは……。
恐るおそる視線の先を辿る。
と、そこには……。
「お前らー!」
つい声を荒らげてしまった。
キャッキャとはしゃぎながら隠れる佑美と由香里。
――ガラガラッ。
俺は立ちあがり、ブースを出る。
「のぞいてんじゃねーよ!」
「ごめん、ごめん。……でも、よかったじゃん! なんか安心した」
佑美のはにかむ笑顔。これも大事な友達として、守りたいモノのひとつ。
しかし、沙奈がいる手前、俺は素直になれなかった。
「うるせぇ! 人の心配してる場合か?」
ぶっきらぼうに返す。
「……でもさ、今日はたくさん人がいる場所にみんなでいるんだから、大丈夫でしょ!」
ふたりは辺りを見回している。
「ま、まぁ……な」
由香里の言うとおりだ。
ティーパックを選ぶ若い女の子に、成人誌をまじまじと選ぶ未成年、イチャイチャしているカップル……。
ネットカフェは盛況だ。
……ここじゃさすがに、なにも起こらないだろう。