ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ 【完】



「だからって、沙奈に変な気起こさないように!」

佑美の鋭い眼光にヒヤリとする。

俺のことを手に取るようにわかっていたのは、彼女の方。

「バ、バカ!」

「キャ! 怖~い」

自分たちのブースにそそくさと逃げこむふたり。

「フゥー、まったく……」

振り返ると、熱湯をかぶったように顔を赤くしている沙奈。

「ぁ、ち、ちがうよ! 俺、なにもしないからね!」

「……ホント?」

「ガチ!」

「じゃあ……ん!」

今度は沙奈が小指を差しだした。

「約束してもらおうかな」

「……は、はい」

少し残念な指きりではあったが、このとき俺の決意も固まる。

“好き”という大事な言葉は、なにも起こらない夜を越えたら、ちゃんと伝えようと。

それから俺たちは、寄り添ってPCと向き合った。

初めての共同作業。

結局、ふたりで探しても手掛かりは見つからない。

1時間くらいたっただろうか。沙奈は大きなあくびを隠そうと顔を手で覆う。

「いいよ、寝ても」

「敬太は眠くないの?」

「俺は大丈夫。横のふたりも静かだし、きっとこういう場所だから安心して寝てるよ。だから沙奈も、おやすみ」

「うん……」

どこかさびしげな沙奈の手を取る。

「これなら眠れる?」

すると彼女は、満面の笑みを浮かべ、

「うん!」

と言って横たわる。

5分後。

「片手じゃ操作しづらいなぁ……」

幸せすぎるボヤキを言いつつ、スヤスヤ眠る沙奈にブランケットをかけた。

髪を優しく撫でると、猫のように気持ち良さそうな顔をする。

俺はその魅力的すぎる寝顔を見て、誕生日の夜を後悔した。

……あんなのやらなきゃ、沙奈を不安な目に遭わせなかった。

「……ん?」

ふと頭を過ぎったワードを打ちこんでみる。

【だるまさんがころんだ】

……検索!

出てきたページに書かれた、『ダルマさんが転んだ』の遊び方。

さらに調べていくと、その形態は地方によって様々だった。

俺はごく一般的なルールを、よく遊んだ幼少期を思い出しながら目で辿る。



 
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