ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ 【完】



ブースの外の床、出口を封鎖するように横たわる女。

「ッ゛ッ゛ッ゛!!」

声にならない叫びが口から洩れる。

“帯(オビ)が無い”白装束に身を包み、長い黒髪が逆立って床へと広がっている……女……?

髪のせいで、その顔は見えない。

すると……。


20°


45°


70°


90°


女はゆっくり首を傾げるように、俺の方を向く。

そして……。

「ッハ!」

ぞわりと鳥肌が立つ。

闇の住人である証か、その瞳に白と黒の境界はなかった。

「ッング!」

目が合った途端、金縛りに襲われる。

瞬時に、ヒソヒソと話す人の声も、足音やキーボードを叩く音も、ヘッドフォンから洩れていた音声やマンガをめくる音も……人間によって奏でられる生活音すべてが消えた。

……この感じは!?

1日目の夜と同じだ。

「ゅ……み」

彼女に危険を報せようと、大声で叫んだつもりだった。

しかし、聞こえない。発した自分自身にさえも。

ニヤッ。

動けない俺を見て、女は笑う。


トンッーー  トッーー

       サササササッ――

 トンッーー  トッ――
   
  ザザザザザッ――


静けさの中、この音だけが聞こえる。



 
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