ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ 【完】
トッーー トンッーー
サササササッ――
サササササッ――
前を横切ろうとする女の腕は、肘から先がない。
トッーー トンッーー
ザザザザザッ――
そして、臀部から下も。
トンッーー トッ――
まるで地に足をつけるように腕を突き立て、
ザザザザザッ――
体を押しあげる。
這って進む弱々しい音に反し、その動きは力強い。
やがて、女は視界から去ってゆく。
かと思えば、すぐとなりで、這う音がしていた。
……やめろ! 佑美に手を出すな!
トッーー トンッーー
ザザザザザッ――
《フフフフッ―― ハハ八ハッハ!》
……クソッ! 動け、身体……動いてくれ!
――ガラガラッ。
ほどなくして、となりの扉が開いた。
フラリと、俺たちのいるブースの前に佇む足。
下の隙間から見えるその素足は、白くて細い。
……女?
爪には水色のネイル。
……佑美!?
視線をあげると……。
「ア゛……」
彼女が上からのぞいていた。数時間前と同じように。
ひとつだけちがうのは、その瞳に白と黒の境界がないこと。