ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ 【完】
「ななな、なによこれ!? 私のこと!?」
由香里は画面を見つめながら、俺の胸ぐらを強くつかんで訴える。
「お客様!」
とっさに振り返ると、そこには緑色のエプロンをした男性店員が困ったような顔をして立っていた。
「大変申し訳ございませんが、もう少しお静かにお願いします」
「……ぁ、あの!」
俺はかまわず問いかける。
「素足の女の子を見かけませんでしたか?」
「……えぇ。たしか、ついさっき」
「どこに!?」
「ひとりでエレベーターに乗りましたけど……」
きっとそれは佑美でまちがいない。
「由香里! 今から佑美を探してくる。お前は沙奈と一緒にとなりのブースにいろ、わかったな!?」
「ぅ゛う゛……」
「沙奈、頼んだぞ!」
「うん!」
俺は靴をしっかりと履きながら、エレベーターの”▽”を何度も強く押す。
……まだ近くにいるはずだ。
1階に降り、人の姿もまばらな街に飛び出した。
時刻は3時23分。
速くなる脈拍と、よみがえる最悪の記憶。
「ハァ……ハッ……ハァ……」
それを打ち消すように思い浮かべた。
笑った顔も怒った顔も、すべてが飾らない、素のままの佑美。
そんな、なんでも話せた親友が、俺のもとからいなくなるなんて想像もしたくない。
「佑美ぃー!」
……頼む、佑美。返事をしてくれ!!
――パシ――ンッ!
「ん!?」
突如、凄まじい衝撃音がこだました。
「キ゛ャアァーーッ!」
少し遅れて悲鳴も。とうとう、この胸騒ぎも3度目だ。
なにかが弾けるような奇怪な音と、女の人の叫び声。
どちらの主も佑美でないことを願って、音がした方へ走りだす。