ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ 【完】
早朝、人もまばらな駅のホーム。
発車間際の電車に、足もとの覚束ない由香里を、俺と沙奈のふたりで支えて乗せる。
「ひとりで帰れるか?」
「うん……」
――♪プルルルルルッ♪
《まもなくー、1番ホームより電車が発車いたしまーす》
「……じゃあ、行くな。学校で」
「…………」
俺は沙奈の手を引いて、車両から降りた。
そのとき、
「待って!!」
と由香里がドア近くの手すりをつかみながら呼び止める。
「どうした?」
自分から呼んだくせに、あとの言葉を詰まらせた。
「由香里?」
彼女は苦悶に満ちた顔をしたかと思うと、急に決意したように話しはじめる。
「こんなこと、言うべきじゃないのはわかってる……。でも、佑美の本当の気持ちを知っているのは私だけだから」
《トビラが閉まりまーす》
「本当の気持ち?」
「佑美はずっと……、ずっと! 敬太のことが好きだったんだよ!!」
――プシュウッ。
「ぇ……」
……え!?
そこでドアが閉まり、走りだす電車。
遠くなる由香里は、泣いていた。
俺はただ困惑して、呆然と見送ることしかできない。
やがて、ホームはひとときの静けさに包まれる。