ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ 【完】
あいさつが飛び交う、いつもと変わらない学校。
俺は靴箱の前で沙奈を待つ。
1日の最初に鳴るチャイムの直前に、まっ赤な目をした彼女が登校してきた。
「沙奈……」
「…………」
視線を伏せたまま、無言で靴を履き替える。
俺たちはもう二度と、前のようには戻れない気がした。
教室の空席は、全部で4つ。由香里は、まだ来ていない。
次々と席に着く生徒たちは、またも増えた空席に怪訝な顔をする。
――ガラガラッ。
表情の暗い宮内。
教壇に立ってまずなにを言うか、俺にはわかっていた。
「……みんなに残念な報せがある」
昨日とまったく同じ。ただ名前がちがうだけ。
こんな朝が3日連続ともなれば、教室のざわつき方も普通ではない。
まっ先に、仲のよかった沙奈や俺に視線が集中したが、俺たちはずっと下を向いていた。
「大橋と小嶋は、ちょっと来てくれ」
締めくくりの言葉はそれで、言われるがまま、あとに付いて廊下を歩く。
普段はあまり使われない、職員室の奥にある小さな応接室へと通された。
「ちょっと待ってろ」
――バタンッ。
「…………」
とても静かで、張りつめた空気。
「沙奈……?」
俺は思いをぶつけようとした。だが……。
「もう無理だね、私たち」
遮るように、彼女は強い口調でそう言った。
2分後。
戻ってきた宮内が、両手の掌を組んで穏やかに語りかける。
「お前ら、いったい、なにがあった?」
「「…………」」
なにを聞かれても、俺たちは言葉ひとつ返さない。
宮内は深いため息をつく。
本当のことを話せば、「ふざけるな!」とすごい剣幕で怒るにちがいない。
だったら、愛想を尽かしたようにため息を吐かれる方が、よっぽどマシだ。
「遠野とも連絡がつかんし……」
「「え!?」」