ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ 【完】



とある県に住む女性が、警察に捜索願いを出した。
“関西へ嫁いだ娘が忽然と消えた”と。
協力要請を受け動きだした警察は、度重なる捜査妨害を受けながらも、どうにかひとりの逮捕までこぎつける。
男の名は、伊達敏也。関西を拠点に暗躍する暴力団の幹部だった。
そして、捜索対象である娘の、夫。
罪名は”監禁”。
家宅捜索令状を手に踏みこんだとき、捜査員たちはベッドにポツンと置かれた小さな人形を発見。
それは四肢がないものの、精巧に造られていた。
だが……。


「タスカッタ……」


人形は捜査員を見るやそうつぶやき、大粒の涙を流したという。
それが母親の探していた娘、伊達磨理子だった。
衰弱しきっていた彼女はすぐに病院へと搬送される。
しかし……33日後に亡くなったという。
死因は、度重なる手術によって引き起こされた感染症という結論だったが、実際は精神的な安堵感による衰弱死ではないかとも言われている。
それはなぜか。
四肢を切断され、身動きが取れない状態の身体。
閉鎖的空間での孤独。
幾度となく受けた性的暴行。
地獄のような日々が与えるそのストレスは、五体満足の人間では計り知れない。
そんな彼女を支えていたもの、それは、

“助かりたい”

“生きたい”

という強い気持ち。
だが、保護されたことで、一気に緊張が解き放たれた。
そして……まるで眠るようにこの世を去ったという。



 


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