ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ 【完】
「どうして!? 逮捕されてたんじゃ……」
「検察へ移送中に、狙撃用ライフルで頭をズドンッ! ……だそうだ」
「まさか!? 口封じ……」
「ご名答。そして、その犯人は?」
「……警察の人間?」
浦野はコクリとうなずく。素人にでもわかる図式だ。
正義を重んじるはずの組織に潜む”悪”を、垣間見た気がする。
「……だろうな。容疑者の移送ルートを知っているのは内部の人間だけ。この事件が公になれば、日本警察の権威は完全に失墜する。だから闇に葬り、抹消した。伊達敏也という犯人も、伊達磨理子という被害者さえも。……これが真実だ」
「ッ……」
やり場のない憤りをひしひしと感じる。
……これだ。
この怒りが、伊達磨理子の”怨念”の根源なのだ。
浦野はスーツの内ポケットから1枚の紙を取り出し、俺に渡す。
「昨夜行ってきた。中に入ることはできなかったけど……もしかすると、終わらせるヒントは、ここにあるかもしれない!」
白い外壁の建物を映した写真と、走り書きの住所。
「……これは?」
「伊達磨理子の母親が、この病院にいるんだ」
「えっ!?」
……ここに行けば、母親に会える!?
「実は、警察が極秘に管理していて、俺たち組織の者や、報道関係者は一切立ち入りが許されていない場所なんだ。伊達事件を知る唯一の遺族は、強制的にここへ収監された」
「それは……あまりにも……」
娘を非情な形で失った母親は今、いったい、どんな思いでそこに捕らわれているのだろうか。
もしや、呪いは磨理子でなく、母親によってもたらされているのかもしれないとさえ思う。
「あぁ。世の中にこんなにも理不尽な事件があっただなんて、俺も同じ組織の人間として恥じることしかできない」
その表情はくやしさを募らせている漢の顔だった。
無口な今川も、苦渋に満ちた表情を見せる。