ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・シ・タ 【完】
「それから?」
「父親はあまりのショックで精神病院行き。母親は自殺したらしいよ」
「ふぅ~ん」
わずかな興味もすっかり薄れたような顔の由香里。
しかし、佑美は変わらず饒舌だ。
「他にも、女子大生とか新婚って設定もあるけどね!」
「出た! 都市伝説お得意のパターン。……そんなことより、早くあのメインイベントやろうよ!」
「えぇ~、由香里怖くないの?」
「全然! ありえないもん」
そこで俺はおどけたように手を挙げる。
「はいはいはい!」
「なに?」
「メインイベントって?」
……いったい、なにをやるつもりなんだ?
川本くんがそれに答える。
「小泉、誕生日で浮かれているこの子に教えてあげて!」
「おう! 今から公園で、こ・れ!」
彼が得意げに取り出したのは……。
「花火!?」
「そう!」
「もうすぐ夏も終わるのに?」
「シケたこと言ってんじゃねぇよ。俺たちの夏はまだまだ終わらねぇぜ!」
――パシッ!
「よしっと!」
決起するように、小泉が膝を叩いて立ちあがる。
「行こうか?」
「「うん」」
「おう」
みんなもそれに合わせた。
佑美はぐっと背中を伸ばす。
「んーんっ! ……あ~、今日は受験勉強のストレス発散になったなぁ」
「おい、コラ! 人の誕生日をなんだと思ってやがる!」
「敬太はいいじゃん! 酒屋継ぐから、勉強なんかしなくていいし」
「フン、キミに自営業の苦労はわからんだろうね~」
「は? なにその言い方、なんかムカつく!」
俺らが言い合いをしていると視線を感じた。
「「……ぇ」」
見ると、小泉と由香里が薄ら笑いを浮かべていた。
「なんだよ!?」