Only my prince
問いかけても返事がない。




しばらく歩いて連れて来られたのは大学近くのパーキング。黒の軽ワゴンの前で足が止まった。





「・・・乗って」




助手席を開けられて聞いたこともないような和くんの低い声に戸惑いながらもとりあえず和くんの話を聞きたいと思ったから私は乗り込んだ。




爽やかな柑橘系の香りがする車内。バンと音が立てられて運転席に和くんが乗った。




はあと大きなため息をついてハンドルに腕と頭を乗せる和くん。





「もう限界。彩音ちゃん、俺の彼女になって」
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