イジワル王子と屋根の下
11時半すぎにはくるって言ってたのにちょっと遅いかも…。
電話してみようかな、そう携帯を取り出した、その時
「引っ越し屋ならこないぞ」
「…!」
響いたのは、その声。
「俺が電話で断ったからな」
振り向けば玄関には、仕事中のはずの瞬の姿があった。ポケットに手を突っ込み、相変わらず偉そうな立ち姿。
「しゅ…瞬!?どうしてっ…」
「お前の行動なんて俺からすれば丸わかりなんだよ。どうせ俺がいない間に出ていこうって魂胆だろ」
「……」
私の考えなど彼にはバレバレだったらしく、呆れたように溜息をつく。