イジワル王子と屋根の下
「犬の癖に家出か?生意気に」
「出ろって言ったのは自分じゃん…」
「それでも挨拶の一つも出来ないのかよ。散々世話になっておいて」
「…、」
こちらをじっと睨み、瞬は靴を脱ぎ家へとあがる。
「ここ最近ロクに口も聞かないで、いない間に出て行こうってか。ふざけてんじゃねーぞ」
「…だって、無理だもん」
「…?」
「瞬の顔見てバイバイなんてしたら、絶対泣いちゃうもんっ…」
「……」
当たり前じゃん。
だって出て行きたくないんだもん、まだ側にいたいんだもん。
なのにさよならなんて、出来ないよ。