イジワル王子と屋根の下
「じゃあすみません、あとチョコケーキひとつ」
「……」
「?水谷さん、」
「はっ!すっすみません!!」
思わずぼんやりとしてしまい、大野さんの声に我に返った私にも、その表情は笑顔のまま。
「店員さん、お疲れなんですね。ご苦労様です」
そう言って優しく労わった。
「…お、お気遣いアリガトウゴザイマス…」
そして会計をして、瞬と女性はその場を去って行く。
「亀戸さん、お金出して貰っちゃっていいんですかー?」
「いいよ。今日は俺の営業について来てくれたから、君にもご褒美」
「やったぁー♪」
そう、それはまるで完璧な王子様のように。