きみだけが好き。





 ホームルームが終わって、みんな次々と教室を出て行った。


 八代くんに、声かけないと…。


 そう思って、入口近くにいる八代くんに、声をかけようとしたら。


「八代くんっ、一緒に帰ろ♪ …あれ、約束忘れてる?」


 山岡さんが、八代くんに甘い声で話しかけてる。


 二人が一緒のところ…みたくない。


 私は二人に背を向けた。


 一緒に帰るの約束してたんだ? 山岡さんと。


 二人って、どういう関係なの? そんなに仲がいいのかな…。


 なんか、悲しくなってきた…。


 次第に教室は静かになって、後ろをみると、八代くんも未琴ちゃんも居なかった。


「…一緒に帰ったんだ…」


 なに? この気持ち…。


 私、恋に慣れてないからわかんないよ…。






「あれ、花帆ちゃんどうしたの? 紫月と帰らないの?」


 後ろから声がして、振り返ると……未琴ちゃんがいた。


「み、未琴ちゃん!? どうしたの?」


「今、必要な資料取りに来たの。 まだ委員会残ってるんだ。 …花帆ちゃん、なんかあった?」


 未琴ちゃんに話そうかな…。




 
 



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