きみだけが好き。



「今ってダメ…だよね?」


「うん、ごめんね。 あ、でも5時半までだからあと少しだし…待ってられる?」


「うん!」


「じゃ、あとでね!」


 未琴ちゃんは、急いで教室を出て行った。


 紫月は、今日、私と八代くんが一緒に帰ってると思ってるよね…。


 ……恋って、もっと楽しいものだと思ってた。


 でも、やっぱり現実はちがうんだね。


 私、なんだか今は『楽しい』よりも『切ない』の方になってる…。


 山岡さんが八代くんに話しかけてるだけでもモヤモヤしたり…。


 今だって、二人が一緒に帰ってると思うと胸が苦しくなってる…。


 私……こんなの知らないよ…。





「花帆ちゃんおまたせっ …!!…花帆ちゃん」


「えっあ、未琴ちゃん。 お疲れさま」


 いつのまにか未琴ちゃんが居て…でも、なんで気づかなかったんだろう?


「泣いちゃうくらい悲しいことがあったんだね。 話聞くよ?」


「えっ!? 泣い……」


 自分でも気づかないうちに泣いていたみたい…。


 頬が冷たく湿ってる。


 私……泣き虫だな。

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