「約束」涙の君を【完】
●弱い自分
クリスマス
「おはよー優衣」
文化祭以来、
私はクラスの子達に、気軽に話しかけられるようになった。
そして、私と祥太が付き合っていることは、全校生徒が知ることとなり、
いつも一緒にいても、
誰も、何も言わなくなった。
季節は冬になり、
祥太はブレザーの中に、紺色ニットのベストを着るようになった。
「今日さ、杏も一緒にクリスマスプレゼント買いに行くんだけど、
優衣も行く?」
2学期も後わずかとなったある日の休み時間。
前の席のあおいが振り向いて言った。
「一緒に……行きたい!」
あおいは優しく笑った。
「よし、じゃあ決まり!
放課後そのままバスに乗って行くから、
祥太!」
頬杖をついていた祥太は「ん?」とこっちを向いた。
「今日放課後、優衣借りるから」
「あぁ……わかった」
祥太は頬杖をやめて立ち上がると、
私の頭をぽんぽんと撫でた。
「楽しんで来い」
そう言って教室から出て行った。
祥太はずっと優しい。
時々強引で意地悪な時もあるけど、
やっぱり優しい。