意地悪な彼が指輪をくれる理由

一瞬、耳がおかしくなったのかもしれない。

だって私は言い返すのに必死だったし、瑛士は相変わらず意地悪な顔をしている。

「へ?」

「だーかーら。お前は俺の彼女。よって不採用。わかったな?」

「わかるわけないでしょ」

私は今日、就職の面接のために家を出たはずだった。

指定された日付はよりにもよってクリスマスイブ。

わざわざこんな日にって、ちょっと不満に思いながら。

だけど、予定はガラッと変わってしまった。

面接の日じゃなくて、私たちの記念日になってしまった。

「あれからお前に会えなくなって、寂しくなって、のたうち回りはしなかったけど。頭が冷えてからも毎日お前のこと考えるようになってモヤモヤして。あーそろそろ連絡してみようかなって思ってたら、この履歴書が届いたんだよ。いやー、神様はどっかで見てんだなって思ったわ」

「また私を罠にかけてたってこと?」

「そう。この履歴書を受け取ったときから、ずっとね。だけど、罠にかけられていたのは、俺の方だったな」

「どういう意味?」

「のたうち回る以外は、真奈美の言う通りになった」

瑛士は白衣のポケットに手を入れ、そこから取り出したものをよこしてきた。

幸せな聖夜のプラチナチケット。

またの名を瑛士の部屋の合鍵という。

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