意地悪な彼が指輪をくれる理由

いつだったか、気まぐれに登録した無料の占いメールマガジン。

大して真剣に読んではいないけれど、今日の運勢を律儀に毎日届けてくれている。

メールには恋愛運・仕事運・金銭運の5段階評価。

実在するかもわからない占い師からの簡単なメッセージと、どう使っていいかわからないラッキーアイテム。

今日届いたメールの内容を、私はなんとなく覚えていた。

「ラッキーアイテム、キーホルダー」

「は?」

私はバッグから、かつて瑛士に「6連なのに鍵が1つしかついていなくてダサい」と言われたキーケースを取り出した。

相変わらず自宅の鍵がひとつだけ、贅沢にケース内を占領している。

だけど今日からは、もうひとつ。

「ねえねえ、私、今人生で初めてラッキーアイテムの使い方がわかったかも」

キーケースのフック部分に瑛士の部屋の鍵を取り付ける。

たったそれだけなのに、今日一日がとても良い日になったような気がした。

「またあの占いか? 焼き鳥のやつ」

「そうそう。あれ」

「お前、まだそんなの受信してんの?」

「別にいいでしょ。当たるみたいだし」

以前の占いの結果なんて覚えていないけれど、もしかしたらずっと私の毎日をサポートしてくれていたのかもしれない。

律儀に毎日メールを作成し、送信してくれる誰かに、少しだけ感謝した。

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