【完】ダンデライオン





「だから、国王の気持ちは分かる気がするわ。」




「え……?国王?」





ウィルさんから突然飛び出したワードに驚く。
なぜここで国王??




ウィルさんは、あら、という顔をした。私が事情を知らないことに気付いたみたい。





「あぁ、これも知らなかったのね。じゃあ、教えてあげる。国王はね……」



ウィルさんは、昔のことをゆっくりと話しだした。




今は亡き国王…エルノのお父さんは、エルノのお母さんである女王をとても愛していた。


いつも優しく、慈しみを忘れず、笑顔が素敵な女王のことがとても好きだった。




しかし、女王は体が弱く、特にエルノが生まれてからは寝込むことが多くなった。



そして、女王に不治の病の病名がついたのは、エルノが4歳の時。



その病気は、だんだんと眠り続ける時間が長くなり、いつしか目覚めなくなるものだった。




国王は、永遠の命を得られる魔法をかければ、愛する女王とずっと一緒にいられると確信していた。



そして国王は、誰にも言わずにその魔法を探し続けた。




しかし、完全な不死は存在しなかった。




ならば、死の条件がつけば永遠の命にする魔法もかけられるのではないか…そう、考えた。




その時の国王は、自室にこもって魔法を探すことでいっぱいいっぱいだった。
ほとんど部屋の外に出ることはなかった。




女王は、国王の部屋の閉ざされたドアを見ながらずっと何か言いたげにしていたけど、それを言葉にすることは一度もなかった。










< 166 / 286 >

この作品をシェア

pagetop