実は、彼女はご主人様でした。
「そして、キッチンで慌ただしく失敗した料理を片づけているのが母だ。モラパラ、そしてDV気質も持っている父のために、銀行のATMの様にいつでもお金を出せるようにパートを掛け持ちして余裕がないからか、料理は見た目華やか、味は思い切り吹き出すほどの技術を持っている。ただでさえ家計は逼迫していると言うのに、一番節約できる食費が、我が家では断トツトップの無駄遣い分野だ。今はたまに私が料理することもある」



これもまた凄いと呟けるほどの紹介内容が桜雪の口から語られる。


紹介された母親は、一度手を止め、小さな笑顔で会釈した。


真人もまた、応えるように会釈で答える。


桜雪を止めようにも、どこから止めた方がいいのか分からない。軽く話しているが、内容はかなり重い。


それに、母親も桜雪の紹介内容には何も触れないのが気にかかる。



「桜雪…」

「話は後だ。とりあえず紹介は済んだ。2階にある私の部屋に行こう。お茶は私が入れるから、先に行っててもらえるか?」

「え…先にって俺、どこに桜雪の部屋があるのか知らないよ」

「あぁ、大丈夫だ。ドアを見たら分かる。私には兄弟がいないから、これかな?と思ったところがそうだ」

「はぁ…はい…」
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