実は、彼女はご主人様でした。
「すみません先生。私には何の事を言っているのか…全然…」

「いつも美倉を見ていること気付いているだろう。なのに、全然気付かないのか?」



抱き締めていた腕に力が入る。
少し苦しくなってきたのか、桜雪は体を動かし、その手から逃れようとしていた。


それを見抜いた先生は更に力を込める。



「ちょ…っ…先生…苦しいです…」

「だって、美倉が分かってくれないから…」

「分かるも何も、私にとって先生は先生ですよ」

「……え?」



桜雪の言葉を受け、先生の力が不意に弱まった。その隙に桜雪は先生から離れて距離を取った。



「先生、何が言いたいんですか?」

「………分かっているくせに…大人をからかうんじゃない!」



先生の表情が一気に変わり、桜雪に向けられた視線は怒りに染められていた。
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