実は、彼女はご主人様でした。
本性を現した先生を前に、桜雪の声がどんどんと低くなり、送る視線もいつもの爽やかな感じは一切なく、モノを見ているようにただ、目の前の人物を見ていた。



「何だよ?」

「そうやって何人に手を付けたんですか?」

「は?」

「私だけじゃないでしょ、こんなこと」

「…それ、美倉に関係ないよな」

「はい、関係ありません。私なりの先生への興味です。ですから答えてくれると嬉しいです」



目は笑っているが口元は引きつっていることが、声の低さから想像出来る。それでも、桜雪の笑顔は綺麗だと言えるほどだ。


先生はその笑顔を向けられ、言葉の内容に眉を潜めるが、口元をニヤつかせると、桜雪に答えた。



「興味ね、なるほど。そこから始まるかもしれないからな。分かった、正直に言うよ。確かに美倉だけじゃない。他にもいた。けど数人だ。多くはない」



多くはない、と自慢げに話しているが、何も自慢できることではない。目の前にいるのが教師だと言うことを忘れそうな発言。
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