実は、彼女はご主人様でした。

「２度に渡って既視感を見てもらう」

「２度…」

「あぁ、２度だ。だが、ここまでやらなければ、桜雪はきっと普通に過ごしてはいけない」

「……分かった」

「じゃぁ、始めよう」



桜雪の言葉を合図に、真人はまず、母親と目を合わせ、既視感を自分の中に映し出した。



「私も始める」



既視感が真人の中に映り込んだことが分かると、桜雪もまた力を使い、その既視感を再現した。


再現された既視感の景色は明るく、心地よい日差しが差し込んでいる家のリビングだった。そして、広く整理整頓がされているキッチンにいるのは、笑顔でお茶を入れている母親の姿。隣には支度の手伝いをしている桜雪の姿もある。

リビングのソファには二人の姿を笑顔で見守っている父親がいた。


そして、その映像は再び繰り返される。


その部分を録画したように何度も繰り返される映像は、再現された世界で見るには気味が悪かった。