実は、彼女はご主人様でした。
「くくくくく。嬉しいねぇ…一瞬の時でも大金を持たせてくれるなんて、願ったり叶ったりだよ………その後の、破くシーンがなければなぁっ!!」



声のトーンを低くし、突然父親は桜雪に飛び掛かった。

咄嗟に真人が桜雪の前に来たことで、桜雪が胸倉を掴まれることはなかった。



「ちょっと…いきなり…娘ですよ!」

「そんなことは分かっている。今まで育ててやったんだ。つい数か月前まで言うことを聞いてたのによぉ、いきなり掌を返しやがったんだ。猫を被ってたんだろうなぁ、性格も正反対だしな。ったく…滑稽だよ」



桜雪の映像を都合よく変える力は、真人にはビジョンが見えないため内容が分からない。

父親の言葉の内容から、大方の予想はつくが、真人には言い返す言葉が見つからなかった。


胸倉を掴まれたまま、苦しいながらも、必死に桜雪に視線を送る。

その視線を感じた桜雪は、再び掌をかざすと、父親に対して力を使った。

見開かれた瞳を桜雪に向け、父親は半開きになった口のまま笑いだした。

胸倉を掴まれたままの真人は、笑うたびに揺れる父親と共に揺らされている。
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