四竜帝の大陸【赤の大陸編】
私達はまた会えたけど。
こうして一緒にいられるけれど。

たとえ僅かな時間でも。
扉一枚の隔たりが。
また、貴方に怖い思いを……不安させてしまったの?
あの時、この手に掴んでいた貴方の真珠色の髪を、私は離すべきじゃなかった?

「ごめんなさい、ハクちゃっ……」
「違うのだっ!!!」

私の言葉を遮ったのは、ハク。
彼の黄金の瞳を細く黒い瞳孔が、肥大と収縮を繰り返す。
初めて見るそのさまに、瞳孔の動きに呼応するように、私の胸の奥もきりきりと捩じ上げられる。

「……ッ!?」

それは痛みとなって、身の内を這い上がり。
咽喉の粘膜に爪を立て、眼球の裏を焼く。

「我はっ! りこ、我はっ……我はこの世で最も“力”があり“強い”存在なのだぞ!? 我が望んだのではなくこの世界が我にそう望み、願ったのだ!!」

その熱は、この痛みは。
きっと。
ハクの、ものだ。 
 
「だがっ! なのにっ! なぜ!? 我はりこを奪われっ…… 我は“強い”のに! なぜっ、なぜっ、なぜなのだ!?」

だって。
だって。

涙は、その瞳に無くても。
貴方は。
泣いてる。

「あの女などより我はずっと“強い”のに……その我がりこを奪われるなど、おかしいではないかっ! 何が我には“足りなかった”のだ!?  まだ“強さ”が、“力”が足りぬからなのかっ!?」


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