四竜帝の大陸【赤の大陸編】
「え~っと、あのっ、今から……さっきの続きをしませんか?」

あ~、もうっ恥ずかしいっ!
うう、直球過ぎたかな?

「さっき? さっき………ん?」

あぁ、顔が、全身が羞恥で火照る!
心臓が、ばくばくいっちゃう!

「心拍数、体温が急に上がったな?」

私の胸から顔をあげてそう言ったハクちゃんは、黄金の目を細めた。

「…………なるほど。先程中断した交尾の“続き”か? りこは言葉より身体のほうが雄弁だな」

私の右腕に巻かれていたハクの尾が、機嫌良さ気にすりすりと肌を摺る。
この動き……ハクのほうこそ、言葉より身体が雄弁なんじゃないの?

「あのね、“ここ”っていうのは……身体もだけど、心がハクを欲しがってるってことを言いたかっの! こういう時は察して、ベッドに連れていってくれてもっ……!」

なんかもう、いろいろ恥ずかしくて。
思わず、ハクを。

「えいっ!」
「りっ!?」

思わず、つい、ハクの身体を後方に投げてしまった。

「あ! ごめっ」
「りこっ!? 急になにすっ……りこ?」

翼を広げ、空中でとまったらしく、床に落ちる音がしなかったことにほっとしたら。

「うぅ……だって、ハクが、私、ハクと……」
 
ハクとつがいになってからっけっこう経つのに、相変わらず大人の女の余裕も色っぽさもない自分が情けなくて。
後方に投げてしまったハクに申し訳なく、顔を向けることができなくて、がばっと床に突っ伏した。

あぁ、涙が出てきちゃっ…………ん?
背中に、重み?
視線の先にある床に広がる真珠色の……。

「……ハク」

長い腕が私に回され、囲うように……。
左の頬に、後ろからゆっくりと重ねられたのはハクの頬。

その肌には鱗は無く。
陶器のような、滑らかさ。

ひんやりとした体温なのに、触れ合うそこからは伝わってくるのは……心をじわりと溶かす熱。

耳には、淡く揺らぐ吐息。


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