四竜帝の大陸【赤の大陸編】
「あひゃひゃひゃぁああ! あいつ、やぁあああっと行ったねぇえええ! 面白いことになると思うよぉおおおお!」

バイロイトが消えると同時に、例の胸糞悪い“あひゃあひゃ笑い”が降り注ぐ。
ひらひらとしたスカートの裾を躍らせて、リボンのついた靴で軽やかにステップを踏みながら導師(イマーム)は言った。

「ねぇええ! 教えてよぉおおお銀の竜!」

僕は目線は導師に向けたまま、刀を払う仕草でクロムウェルに合図を送る。
バイロイトが居ないので、もう障壁の強度を下げて良いと。

「僕の質問は無視したくせに、教えてだって? 君、ずうずうしいね」

討ちに行くので、内障壁を外障壁に変えろと指示を出す。

「んん~? 壁ぇえええ変えたのぉおお? まぁああいいけどねぇええ! ねぇねぇ、なぁあああんで私が“私”だぁあって、あんたには分かったのおぉお?」

外障壁は広範囲に、広く薄く……街に被害が出ないようにするためのモノだ。
クロムウェルへの負担も少なくて済む。

「そんなの、簡単なことだよ」
「簡単ぁあああん?」

僕は竜騎士として多くの術士と接し……殺してきた。
竜族の僕から見れば、術士は術式が使える『人間』だ。
術士と相対する時、僕の感覚は人間として感知する。
この感覚を、なんと言ったらいいんだろう?
僕は鶏もカラスも鷲も鳥として、その存在を感じる。
個々の姿形・能力が違っていようが鳥は鳥。
竜は竜。
人は人。

「“変”だからだよ」

だが、いきなり現れたこいつは。

「変んんん? 私のどこがぁあああ?」

“変”だった。

「全部、変だよ」


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