四竜帝の大陸【赤の大陸編】
「あれ?」
居ない?
「なぁ、カイユ。旦那、ちゃんと城に転移したと思う?」
天幕から戻ると。
旦那がいなかった。
姫さんを連れて転移したんだろうけれど。
ちょっと、不安だった。
「思うわ」
即答ですか。
「旦那、何日も離れてたからなぁ。姫さんを独り占めしたくて、俺等からも……竜族からも人間からも、旦那が本気で姫さんを隠しちまったら……」
俺は雄の竜族として、旦那がそれを選択する可能性が高いと考えていたんだが。
「考え過ぎよ。そんなことに、あの方にできやしないわ」
「そうかな~……」
昇った太陽が容赦無く、強い日差しと熱を天から叩き落としていた。
カイユに借りた刀の鞘にも、それは射るように降り注ぐ。
俺の肌もその暑さに炙られて、血管の中を走る血液が熱を持つ。
「ダルフェ」
「んんー?」
そんな中で、銀と青を纏うカイユの存在は。
砂漠で惑う人間が望む、泉のように涼やかで……心身の渇きを潤す。
「大丈夫よ。ヴェルヴァイド様はトリィ様の笑顔がお好きなのだから」
乾いた空気を運ぶ熱風も、その銀の髪に触れると涼やかなものと変えられていくかのようだった。
「ダルフェ。あなただって、あの方と同じでしょう?」
「カイユ……アリーリア」
どこまでも澄んだ、水色の瞳に映るのは。
眉を下げた情けない俺の顔。
「うん、俺も君が笑ってくれるならなんだってする…………ってか、ちょっとハニー! これなに!? 俺を待ってってくれなかったのかよ!?」
清らかな美貌に浮かぶ笑みと、その足元に転がる『汚物』との落差はある種の芸術性があるような無いような……。
姫さんの目を避けるために俺の服をかけておいた男は、厚みが失せていた。
服の上から、カイユは徹底的に踏み潰したのだろう。
居ない?
「なぁ、カイユ。旦那、ちゃんと城に転移したと思う?」
天幕から戻ると。
旦那がいなかった。
姫さんを連れて転移したんだろうけれど。
ちょっと、不安だった。
「思うわ」
即答ですか。
「旦那、何日も離れてたからなぁ。姫さんを独り占めしたくて、俺等からも……竜族からも人間からも、旦那が本気で姫さんを隠しちまったら……」
俺は雄の竜族として、旦那がそれを選択する可能性が高いと考えていたんだが。
「考え過ぎよ。そんなことに、あの方にできやしないわ」
「そうかな~……」
昇った太陽が容赦無く、強い日差しと熱を天から叩き落としていた。
カイユに借りた刀の鞘にも、それは射るように降り注ぐ。
俺の肌もその暑さに炙られて、血管の中を走る血液が熱を持つ。
「ダルフェ」
「んんー?」
そんな中で、銀と青を纏うカイユの存在は。
砂漠で惑う人間が望む、泉のように涼やかで……心身の渇きを潤す。
「大丈夫よ。ヴェルヴァイド様はトリィ様の笑顔がお好きなのだから」
乾いた空気を運ぶ熱風も、その銀の髪に触れると涼やかなものと変えられていくかのようだった。
「ダルフェ。あなただって、あの方と同じでしょう?」
「カイユ……アリーリア」
どこまでも澄んだ、水色の瞳に映るのは。
眉を下げた情けない俺の顔。
「うん、俺も君が笑ってくれるならなんだってする…………ってか、ちょっとハニー! これなに!? 俺を待ってってくれなかったのかよ!?」
清らかな美貌に浮かぶ笑みと、その足元に転がる『汚物』との落差はある種の芸術性があるような無いような……。
姫さんの目を避けるために俺の服をかけておいた男は、厚みが失せていた。
服の上から、カイユは徹底的に踏み潰したのだろう。