不機嫌な果実
恭治の言葉が頭から離れないまま、

着替えを済ませたオレは、桃子の家に向かった。

・・・ピンポーン。

お隣で幼なじみの家とはいえ、一応玄関チャイムは鳴らす。


すると、ドアの向こうから、パタパタと、スリッパの音が、

リズミカルに近づいてきた。

…ガチャ。

「・・・」

オレは思わず絶句する。


「いらっしゃい、上がって、リビングでテレビでも見ててよ。

今、ご飯の準備中だからさ」

「・・・あ、あぁ」

「…どうしたの?そんなに驚いた顔をして」

そう言って不思議そうな顔をして首を傾げる桃子。


「…なんでもない、上がるぞ」

「・・・?うん」

オレの後ろから相変わらずスリッパの音をパタパタとさせながら、

桃子が付いてきた。

そして、オレはリビングに入り、桃子はその奥のキッチンに入っていった。


…それをオレは、気づかれないようにチラ見した。

何でもない?・・・そんなのウソに決まってんだろ。
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