世界聖戦
「不甲斐ない」

ヘヴンが呟く。

「ヴァチカンの暴挙を止めたいが為に異端者の汚名を被ったというのに…ファティマの前では何も出来なかった…」

「自分を責めては駄目です、ヘヴン」

カタリナがヘヴンの肩にそっと手を置く。

「貴方がいなければ、ランスロットも聖ジョージ大聖堂の信徒達も、もっと数多くの犠牲者が出ていたかもしれない…貴方は自分の力で為すべき事を為したのです」

「しかし…」

もっと何か出来たのではないか。

相手が奇跡を行使するとはいえ、決してやり方は誉められたものではない。

力ある者が弱者を虐げるなど、神の御意思である筈がない。

何か…何か出来たのではないか。

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