雨の日に、キミと一緒に創るエロ。
 
 そんな風に言われて描き続けられるわけがない。

 キッチンの方へ目を向け、『一刻も早く茹で上げろ』と念を送る。

 『それでねー』と、斜め後ろから聞こえてくるさっきの恋バナの続きは、更に面白い展開になっていた。

 頑張れ!! ワタシの記憶力!! 可愛いコの容姿はもう描いたし、あとは恋バナを忘れぬ様、斜め後ろに全神経を尖らせていると、

 「お待たせしました。 日替わりパスタです」

 先程のイケメンがパスタを片手にやってきた。

 ・・・諦めよう。

 さっさと食べてここを出よう。

 だって、イケメンの視線が怖いし。

 「ごゆっくりどうぞ」

 などと言いながら、イケメンはパスタをワタシの前に置いてくれたけど、腹の中では『早く帰れよ、変質者』って思ってるに違いない。

 フォークに分厚くパスタを絡めて、無理矢理口に突っ込む。

 うま。 美味すぎる。

 変質者さながら、鼻からフーと息が漏れ、口元が勝手に緩む。

 他のパスタも食べてみたいなー。

 イヤ。 無理だ。 もうこのお店には来られない。

 ふと、あのイケメンと目が合ってしまった。

 ・・・そうだ。 そんなのどうでもいいから早く食べ切ろう。 居心地が悪い。

 パスタを巻く時間も削減したい。

 蕎麦をすするかの様に、勢いよくパスタを吸い込んだ。
< 11 / 81 >

この作品をシェア

pagetop