雨の日に、キミと一緒に創るエロ。
 
 「では、お席ご案内致します。 こちらどうぞ」

 イケメンがその長い腕をを伸ばしながら、カウンター席に誘導した。

 イケメンにとって、ワタシの鼻くそ並みの声にも出さない主張など、それこそ鼻くそ以上にどうでも良い事で。

 促されるまま、おとなしく用意してもらった席に座ると、

 「日替わりパスタ、すぐごに用意しますので」

 イケメンはキッチンへ下がって行った。

 日替わりパスタが運ばれてくるまで特にやる事もないので、ポケットから携帯を取り出し、無意味に弄っていると、斜め後ろの席から楽しそうな笑い声が聞こえて来た。

 チラっと視線をそっちに向けると、傘を返却しに来ていたさっきの若い女のコが、友人らしき女のコと恋バナを繰り広げていた。

 なかなか面白いその話。

 漫画になるカモ。

 鞄から紙とペンを取り出し、話の内容と話をしているコの似顔絵と服装を描き込む。

 軽快にペンを走らせていると、

 「・・・それ、あちらのお客様様ですよね」

 背後から声がした。

 振り向くと、先ほどのイケメンが物凄い形相でグラスに水を注いでいた。

 慌ててガバッと上半身をテーブルに貼り付け、描いた絵を隠すも、時すでに遅し。

 それどころか、そんなワタシの行為が更に怪しさに拍車をかけた。

 にも関わらず、

 「違います。 怪しい者ではないんです!!」

 最早、自分で不審者を名乗ってしまってるかのような怪し過ぎる言い訳を被せる。

 違うのに。 シゴト熱心なだけなのに。
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