マー君(原作)
その前に絶命するはずだ。

人間の構造では。

でも、医者でもないとそれは断言できないし、私が独断で考えても。

いや、やはり無理だ。

あれは竹村君ではなかった。

雫は首を振り、自分の疎かな考えを否定した。

暗闇の中でこんなことをしているのを他の人が見たら、頭がおかしいと思われるだろう。

それでも雫は構わなかった。

今は考えることで精一杯だった。

「これが本物なら……」

嫌な想像が頭の中を巡る。

明日、日本は血の海と化する。

国規模なんてまるでたちの悪いSFの話だ。

よくそういう話はある。

国規模で、人がいなくなる話、化け物になった人間達が襲い掛かってくる話。

そんなばかげたことが起きるなんて、ありえない。

もはや呪いなどの枠を超えている。

いや、そもそも誰がマー君は亡霊なんて決め付けた? 

それはただの噂で、誰もマー君の正体を知らない。

もしこのチェンメールの言う通りなら? 

亡霊なんかがこんなふざけたチェンメールを送るか? 

普通とは違う。

何か人為的な物を感じる。

予想を超える何かが。

千人などふざけた数字――。

だが、ありえない。

しかし、それもありえない。

雫は首を振って、脳裏をよぎったある答えを打ち消した。

マー君の正体を。

私は信じたくない。

そうではないと願っているのは、私が何も知らないから。

無知だから。

逃げているから。
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