マー君(原作)
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少し広めのリビングでは、家族の暖かい食卓が始められていた。

雫の家のリビングはキッチンとくっついており、質素な丸テーブルがキッチンの前に置かれ、そこからリビングを見渡せた。

リビングはカーペットが敷かれ、奥に黒いソファ、その奥にテレビ、その後ろが中庭に通じる壁一面窓が広がっている。

今クリーム色のカーテンが閉められている。

食卓を囲んでいるのは母親、雫、姉の雨の三人でおり、父親はいつも帰りが遅い。

テーブル上にはカレーライスの皿が三つ、真ん中にサラダボール、麦茶が入ったガラスコップが三つあるだけの簡単な物だった。

それも、母親が雫の様態を気にしての行為だった。

「雫、大丈夫? 具合悪くない?」

母親は今日学校で起きた事件が心配で堪らない様子だ。

それはそうだろう、クラスで首切り自殺を見た我が子を心配しない親はいない。

きっと具合を悪くして病院に行った子や、連れて行かれた子もいるだろう。

そんな中では、私はまとものほうなのだろう。

あんな光景を目の当たりにして、今こうしてカレーを頬張っているのだから。
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