マー君(原作)
<4>

「良一・・・・・・」

洋太はいつものように上田良一の見舞いに来ていた。しかし、病室には洋太一人だけだった。

ベッドには白いシーツが敷かれているだけで、良一の姿はない。そして洋太はそのベッドをじっと見つめて立ち尽くしていた。

「どこに行ったんだ? 良一」

病室の開いた窓からそよ風が流れ込み、栗色のカーテンを静かに揺らす。

日差しがベッドを照らし、微かに反射している。

洋太はただ立ち尽くしいるしかなかった。

自分しかいない病室でただ一人−−。

良一は消えた。

突然、何の前触れもなく。

これが何を意味するかわからないが、嫌な予感がした。

あまりにも静か過ぎる。

嵐が来る前のように。
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