マー君(原作)
「雫――」

――くそが! あの馬鹿娘のせいで会社をクビにされた!――

頭の中で父親の怒声が響く。そして母親の声も――。

――雫のせいで、マスコミにいいようにされて! あいつが、あいつがあんな馬鹿なことをしたからこんなことに――

やめて! 雨は頭の中で繰り返される声に悲鳴を上げた。

――雫め! ふざけやがって! どれだけ俺達に迷惑かければ済むんだ! やはり、育て方が悪かったな。パソコンばかりやっているからああなったんだ――

やめて! 雨は目を閉じ、叫んだ。

――そうよ、そうよ。パソコンばかりやらせてたから、ああなったのよ。でも、あなたが雫にパソコンを買ってあげたんでしょ?――

――う、うるさいっ! なんであろうと、悪いのはあいつだ。全て、あいつが悪いんだ!――

「やめてったら!」

気付けば大声を出していた。雨は息を切らし、両手で頭を押さえていた。嫌なことを思い出した。思いだしたくもない記憶を――。
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