マー君(原作)
「俺は、俺は……」

洋太は何もいえなかった。ただ立ち尽くしているしかなかった。吉沢の厳格な顔を見下ろしているしかなかった。

「貴様はマー君の正体を何と見た?」

「……」

「まさか、亡霊なんて馬鹿な考えではなかろうな。人はなんでもありえないことを、そういう類に入れて考えてしまう。

もっと現実を見たらどうだ。それとも、そんなウィルスありえないと?

いや、現にありえている。だから、これは真実だ」

一気にまくし立てた後、吉沢は大きく息を吐いた。

「だから――」

吉沢は目を閉じ、ゆっくりと言った。

「日本政府は他国にこの情報が漏れるのを防ぐため、マー君の抹消を決めた。今や『あれ』は暴走した兵器だ。被害は拡大する一方だからな。

もし、この真実が他国に知られたらどうなることやら。あんな常識を超えた兵器、それこそ奴らの注目の的だ。

俺達は日本を守るとほざきながら、マー君などという恐ろしい兵器を作ったのだ。そして、それは大勢の人間に被害をもたらしている。

責任追及、そんな甘い言葉ではすまないだろうな。ここまできたら、後は掃除するしかない。

だから、貴様が嫌いなのだよ、葛西洋太。余計な掃除まで増やしやがって」

そう言う男の顔には険悪以外の何もなかった。
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