マー君(原作)
「なら、酒でも飲むか? 嫌な事を忘れられるぞ」

「いい」

「なら――」

「いいって言ってんだろうがあああ!」

洋太は目をぎらつかせ、見下す吉沢を穴が開くほど睨んだ。しかし、吉沢は微動だにしない。こういうのに慣れているのだろう。

それでも、洋太は睨まずにはいられなかった。

信じたくない。

ただ、その一心で吉沢を睨み続けた。

その思いが通じたのか、吉沢がまた肩を下ろした。

「外に出ろ。貴様に見せたい物がある。その空っぽの頭に真実というものを叩き込んでやる」

馬鹿にされたことに洋太は腹が立ったが、それ以上に真実という言葉に自然と気分が落ち着いた。

気づけば、立ち上がり吉沢の後に続いて部屋を出ていた。

外は狭い廊下が一直線に延びており、はるか向こうにドアが見える。

どうやら壁も全てコンクリートでできているようで、天井に大き目の丸い窪みが一定の間隔を開けて並んでおり、そこから明かりが漏れている。
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