マー君(原作)
「マー君はただのコンピュータウィルスではない。AIを備えたウィルスだ。もともとコンピュータウィルスに様々な種類がある。

何らかのメッセージや画像を表示するだけのもの、ハードディスクに格納されているファイルを消去したり、コンピュータが起動できないようにしたりするタイプ。

しかし、このウィルスは違う。人に感染し、人間の脳を侵食する。そのウィルスが新たな情報を脳に書き込む。恐怖というプログラムを。

つまりマー君は自分で考え、行動するのだよ。だが、ただのAIシステムではない。こんな馬鹿げたことができるのは、それは――。

マー君が――」

次の言葉が発せられる直前、突然明かりがついた。急に光りを浴びたため、洋太は片手で視界に光が入るのを防いだ。

「な、なんだよ、き、急に−−」

目が次第に慣れてくる。周りから何か音がする。

「なんだ?」

霞む目を凝らし、周りを見回す。そこには−−。

「マー君プロジェクトとは生きた人間の意識をコンピュータウィルスに移植する−−人体実験だ。

人間の憎しみという感情を移植する恐ろしい実験だ」

洋太の前に立つ吉沢とブタ太。彼らの背後には数え切れないほどの鉄檻が積木のように並んでいた。

気付けば、洋太達は部屋−−いや広場の中心に立っていた。

三人は巨大な空間の中に立っていた。まるで倉庫のような広さだった。

一面コンクリートで囲まれた空間、そして四方を囲む小さな檻の山。そこから声ともつかない叫び声が聞こえている。

中に何かが入っているようだ。

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