マー君(原作)
「ああ、ごくろう」

枯れた声で言い、資料を受け取る。そこで、少し間を置いて、男に尋ねた。

とても一人で抱えられる問題ではない。少しでも気が休めばと、部下にマー君のことで相談しようと考えたのだ。

それでも、あんな不確かな存在を口にするには勇気がいった。

「そういえば、君、君は、あの……」

「はい?」

スポーツ刈りをした男は眉を上げ、聞き返す。勝田は男の顔を見ながら、言いづらそうに聞いた。

「君は、最近噂になっているマー君っていう物を信じているかね? もちろん、私は信じていないが」

保険を掛けるような言い方だったが、気にしなかった。今は少しでも楽になりたい。

誰でもいいから「マー君なんていない」と言ってほしい。そうすれば、少しでも……。

「部長?」

急に男がにやり笑う。勝田は嫌な予感がした。

「な、なんだね?」

「部長が持っているそれ、マー君のことについて書いてるじゃあないですか」

それを聞いたと同時に勝田は手元の資料を見ていた。
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