マー君(原作)
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凪はリビングに飛び込んできた雨に、叫んだ。

「お姉ちゃん!」

雨はにっこりと笑い、優しくそれでいて力強く言った。

「助けに来たよ、凪」

凪はその言葉に救われた気がした。感謝してもしきれなかった。きっと怒るだろう、そう思ってたのに、お姉ちゃんは笑ってくれた。微笑んでくれた。

嬉しかった。

胸が張り裂けそうなぐらい。

だから、決めた。戦うと。この恐怖と。

だって僕は一人じゃあないんだから。

凪は自分の愚かさを悔いた。

「さあ、私の大事な仲間を返してもらおうかしら、マー君」

「大事な?」

マー君は雨の言葉を笑い飛ばした。

「なら、妹は大事じゃあないの? 水月雫は? かわいそう〜」

水月雫? 凪は顔を曇らせる雨を見た。彼女は辛そうに唇を噛み、悔しさを堪えている。

「雫は、どこ? どこにいんのよ!」

雨は持っていた銃をマー君に向けた。それを見て、マー君は急に人が変わったようにひ弱い声を上げた。
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