マー君(原作)
<24>

「凪、君言ったよね?」

マー君が消えてからしばらくして、雨が凪の両親を見つめながら口を開いた。凪は椅子に座り、光也は凪の両親の縄を解けないように縛り直している。凪は両親が縛られる様子を見て、父親の言葉を思い出した。

もっと強くだ! もっと強く−−。

あれは僕のことを言っていたのかもしれない。

強く、強くなれと。

凪の隣に立つ雨が、静かに凪の両親に近づく。

「私達がマー君に勝てないって、言ったよね。でもね」

顎で光也に脇にどけるように指示し、凪に背中を向けたまま続けた。

「私気付いたんだ。勝ちって何か? 勝ってどうするんだって」

「え?」

凪は雨が何を言いたいのかわからなかった。ただ雨の背中がさっきより大きく見えた。

「マー君に勝つ。それが私達黒の仮面の役目だと思ってた。さっきまでは−−。でも違うんだ」

雨が凪を振り向き、満面の笑みを見せた。

「凪に教えて貰ったんだよ」

「僕が?」

「そう。私は勝ちにこだわり過ぎてた。でも凪を助けられた時・・・・・・嬉しかった。大切な物を失わなくて、ほっとした」

「大切な物−−」

凪は雨の笑顔が目から離れなかった。なぜか胸が熱くなる気がした。
< 470 / 604 >

この作品をシェア

pagetop