マー君(原作)
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桂子は目の前に立つ金田を睨み続けた。しかし、彼は微動だにせず、腰を抜かしている桂子を見下している。

生徒に見下されるなど教師としてあってならないことだ。だが--。

「前から言いたかったですが、先生はなぜそんなに他人を心配するんです?」

金田が話している最中、廊下に逃げた生徒や教師の叫び声が聞こえる。ついさっき突然軍が学校に乗り込んできたのだ。

今や学校は地獄と化としていた。鳴りやまない銃声、子供達の叫び声、逃げ惑う足音--。

桂子は必死に下唇を噛んで耐えた。すぐにでも生徒達を助けに廊下に飛び出していきたかった。だが--。

教室には桂子と仮面をつけた生徒数人、それに黒い化け物が一匹いるだけだ。皆恐れをなして教室から逃げだしてしまった。

桂子もその後を追いたかったが、金田がそうさせなかった。

「さあ、先生言ってくださいよ。いつものように『私の生徒に手を出すな』って。違いますか?」

「あ、なたは--」

桂子は金田の隣にいるレベルMを睨んだ。今そいつに首根を掴まれている。

今はただ掴まれているだけだが、少しでも妙な動きをすれば、床に転がっている坂井のようになりかねない。
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