マー君(原作)
周りは背の高い塀に囲まれ、様々な色の屋根が顔を覗かせている。

所々木が見えた。

夕日に照らされた家路は、静寂に包まれ、何も聞えなかった。

人気もなくただ真っ直ぐな道が延びている。

「あーあ、クソつまんねーな。マジで」

急に風が冷たくなった。

この真夏にこんな風が吹くとは、都会も気候が変わったものだ。

勇気はため息をついて、しばらくぶらぶらしていたが、何もすることがないと判断し、そのまま家に向かった。

彼が通り過ぎた真上の電柱では、留まっていた鴉が鋭い目つきでその姿を追っていた。

その鴉は勇気の姿が見えなくなるまでじっと彼を目で追っていた。
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