マー君(原作)
<11>

「ねぇ、あれ本当なの?」

金と茶色の頭が並んで歩いている。

その光景は廃れた住宅街でやけに目立ち、背景に浮かんで見えた。

金髪の昭子は隣を歩く茶髪の早紀に小声で話しかけた。

彼女ら以外誰もいないが、何故か昭子は本能的にそうした。

その話し方に早紀は深刻そうな顔をして頷いた。

二人は勇気と別れてからゆっくりと家路についていた。

二人が歩く周りも住宅街独特の風景がどこまで広がっており、特に変わりはない。

その狭い通路の真ん中を堂々と歩きながら、意味もなく小声で話し合う。

「たぶん、勇気君、春香と――」

「やっぱり。あの犬やろう」

昭子は怒りがこみ上げてくるのを感じた。

今日聞いたのだが、勇気が春香に「手を出した」とは……。

今までのいじめでこんなケースは初めてだ。

あの勇気君があんな女に興味を抱くなんて。

坂子の時は見向きもしなかったのに。

クソ、あのクソ女、許さねえ……。

許さねえ……。

許さねえ……。

「許さねぇ、あの女ぁ! 勇気君を汚すなんて」

「し、昭子?」

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