マー君(原作)
知らず内、昭子は怒鳴っていた。

すぐ早紀に言われ、我を取り戻す。

凄い顔をしていたのだろ、早紀はかなり動揺している。

それとも今の表情で化粧が崩れたか? 

まあそれはないと思うけど。

昭子は乱れる鼓動を落ち着かせながら、正面を見て言った。

でないと、早紀をまた怖がらせてしまう気がした。

「わかってる、落ち着くよ。ここで昭子が怒ってもしかたないしね。でも、でも、あいつは、勇気君を……」

また怒りがこみ上げてくる。

勇気君とあのクソ女がしたことを思い出すと、頭に血が上る。

殺してやりたい、殺してやりたい、この手で。

今すぐにでも!

ああ、あのクソ女ああああ!

気づけば、また昭子は怒り狂っていた。

頭を抱え、「殺す、殺す、殺す」と叫んでいた。

それを見ていた早紀はさすがに昭子から離れ、警戒した。

「し、昭子、昭子!」

名前を呼ばれ、昭子はまた我を取り戻した。

が、その時には昭子は私から距離を置いていた。

よほど私の姿に怯えたのだろう。

私の仮面を外した本当の姿に。

昭子は乱れる息を抑えつつ、にやりと笑った。

早紀は目の前で震えている。

「だ、大丈夫っよ。もう」

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